ガーナ録

ガーナ録

活動の記録ブログ。人の為と書いて 偽。

512日目 : 布への愛が止まらない

私にとってこちらでの生活の最大の楽しみといっても過言ではないもの、

そう、それはもちろん、


布!


いままで約1年で購入した布の総量なんと 150ヤード超…!
1ヤード平均10セディだとしても総額1500セディ。3万円は超えているという計算。家族や友人に送った分も含めての総量ですが、いやはや、買うねぇ。。多すぎる?w


そんな「布」ですが、こんなに買っているにもかかわらず、
いままで何もわからず知ろうとせず、無知だった自分を最近恥じています。

 


▼布を売っているところ

 

最近はほぼクマシのKejetia marketで買っていますが(前回記事参照)、
もちろん地方のマーケットでも どこでも入手できます。

 

これはうちの隣町のマーケットの布屋さん。
このおばちゃんはクマシまで買いに行っていると言っていたように思います。(英語ほぼ喋れないのであやふや) ちなみにこの店のラインナップは毎回けっこう私の趣味と合うので、おばちゃんとは気が合いそう。

 


このようにカゴに布を入れて頭に載せて売っている人もいます。
カゴで売っている人は村でも見かけるし、たまに学校にも売りにきます。

 

 


▼売っている布の種類:感覚

 

アフリカ布の特徴はなんといってもその特徴的な 柄。

言葉では表現しづらいのですが…

こんな感じ!!!(これは友達にプレゼントした布詰め合わせ~♪)

無数にある柄のなかから気に入った柄を買うことは当然ですが、もちろん布によって品質や値段も変わってきます。

 

布はヤード単位で購入できます。(1ヤード=1メートル弱)

値段は1ヤードあたり、最安値で6セディ、一般的なもので10セディ、ちょっと高くて15セディ、ブランド物で20セディ超えるぐらい。(1セディ=約20円)

 

最安値のなんかは本当にペラッペラで 紙か?と思うようなあからさまな安物もあります。
粗悪品はやはり色落ちも早いし、プリント柄のにじみや色写りも発生します。ただ、安物は安物なりに使っているうちになじんでくるので、これはこれでアリだなぁという感じも 正直 無きにしも非ず。。

逆にブランド物(Woodin)は、ハイブランド化しているだけありイマドキの柄でめっちゃ可愛いんだけど、マーケットや近所のおばちゃんでWoodinを着ているひとはまず見ない。ので個人的には「アフリカ」という親しみを感じられず あまり買わない。。


とまあこの程度の、値段・質感・図柄の「感覚」だけで1年弱も買い物を続けていたわけですが、このまま知ろうとしなければずっと知らないまま終わっていたであろう。。

 

 

しかし「Made in Ghanaのプリント布がある」ということを知ったのをきっかけに、ちゃんと布のことを知らなければ。と、思うようになり。

 

最近では すっかり布事情調査が楽しくなっています!!!

 

調べれば調べるほど どんどん詳しくなってきています。その調査の様子を少しご紹介したいと思います。

以降は「プリント布」に関して話を続けます。
ガーナにはもうひとつ伝統的な?ろうけつ染めの「バティック」布があります。あのKwameの店に並んでいる私のお気に入りのやつです。それはそれで、Kwameの店に卸しているハンドメイド元を辿りたいと思っているので、その暁にはまたご報告をば…

ま、今回は「プリント布」に フォーカス!です!

 

 

 

▼布の種類:本格調査

 

布にもブランド?があって、どこの会社が作っているかで識別されていることは以前からなんとなく理解していました。
あと、布の世界でもそうで、中国から安価なコピー品や粗悪品が出回っていることも知っていました。


じゃあ、実際どんなブランドが出回っているのか?
 

紙とペンを握りしめて布屋を回り「おばちゃんのとこは どこの布を扱っているの?いくらで?」と、聞き込み調査しました。道中たまに布を買い…笑


会社は色々ありますが、代表的で比較しやすいこちらの2種類をピックアップ。

  • HIGH TARGET(中国製品)@10セディ
  • GTP(ガーナ製品)@15セディ


これだけ見ると、私は、安直に手軽さだけを理由に中国製品を買っていた過去の自分を恥じました。

 

実はガーナ製品のほうが手触りが良く、でもプリント布に求められる強さも兼ね備えていて(アフリカでは強さめっちゃ重要)、品質もしっかり保証されています(アフリカ布総本山といえるオランダの会社VLISCOグループ傘下)。

アフリカ布!って言ってるのに実は中国からの輸入品 なんていう矛盾もないし、
「よーし、次からはちゃんと確認してGTP買おう!GTP一択!」と思いました。


しかし、そうはいかない事情もいろいろわかってきました。

 

 


▼クマシマーケットで出回っている布

 

私が1時間ほど見て回った店舗に限っての感覚値ですが、
クマシでは、中国製品:ガーナ製品の取り扱い比率はなんと 9:1!!

 

圧倒的中国!ぜんっぜんガーナ製品が見つからない…!
ということは、そんなに需要がないんですね。率直に悲しい。

 

一方 首都アクラのマーケットでは、少し前に布を見に行ったときには ほとんどのお店が「GTPだよ!GTP!」と売り込み文句のように声をかけてきました。逆に中国製品の勢力が弱かったように思います。首都ではある程度観光客やバイヤーに慣れているのでしょうか。。首都マーケットについては再度きちんと調査したい所存。

 

 


▼中国製品とガーナ製品の違い

 

クマシマーケットでの圧倒的シェアの差の要因は何なのか?

2つの製品には、値段と品質以外にも、もうひとつ違いがあります。

 

それは、好きな長さにカットできる(必要な長さだけ購入できる)かどうか。

個人的には、これ、けっこう大きいです。


売店が布を仕入れる単位が 実は6ヤード。
それを バラして販売することを「可」としているのが中国製品、「不可」としているのがガーナ製品なんです。
※これにもおそらく理由があるようで詳しくは後述

 

普段使いの場合、ワンピースを仕立てるとしてもせいぜい3ヤードあれば十分。
余っても仕方ないので、それだったら3ヤードずつ違う柄が欲しい、と思うのは至極当然ですよね。

 

一方、ガーナで冠婚葬祭などでいわゆる正装を仕立てるときは、男女ともに6ヤードしっかり使います。布が多いほど立派という風習もあるようです。

実際に、正装用の布は品質の良いGTPを買うという人もいますし、販売店のなかには「冠婚葬祭の色ならGTPあるよ」と言っていた店もありました。

 

まとめると、一般消費者の感覚はこのように予想されます。


中国製品=普段使い用。安い割にまあ悪くない。小分けで買えるの嬉しい。
ガーナ製品=正装用。品質しかっりしてるし良い布だけどちょっと高い。


加えて、クマシでは前述のとおり中国製品の品揃えが半端ない。つまり図柄も選び放題。同じ店でさえ、お店を覗くたびに毎回違う柄を発見するような状態なので、クマシでは図柄の選択肢の幅も広い、好きな長さに切れる、そして安い、そんな中国製品に圧倒的シェアがあることも納得です。私もそれだったら…HIGH TARGETを買うしかないとなるのが現状です。

 

でも、せっかく自国製品があるのに。

品質を誇れる自国製品があるのに。

それが一般消費者に普及しないなんて、私だったら、悲しい。

 

 

 

GTPの品質保証

 

だって、ガーナ製品本当にちゃんとしているんです。

 

中国製品が図柄の違法コピーをしているのは事実で、その中でも圧倒的勢力のHIGH TARGETも違法なのかどうかまでは定かではありませんが、とにかくそういったものと戦っているガーナ製品。

 

私もつい最近いわれて初めて気づいたのですが、

購入した布のラベルに、スクラッチがついていて、削って出てきたコードをSMSで送信すると…

 

OK

GTP PROCUCT, 1 Piece, Keep Buying

 

と即座に返事がきます。

「OKそれ本物だから安心して購入してね」てな感じ。すごいちゃんとしたシステム。

ここまで真面目に戦っているなんて本当に驚き。

 

そしてこのラベルが実は、6ヤードごとに貼付けられているんですよね。品質を証明するためにカット販売が禁止されている…のか?!これはまだ憶測です。

 

そんなことを知ると、ますますGTPを推したくなります。なぜ一般消費者レベルでは浸透していないのか?はたまた、私が知らないだけで、もっと広い目で見ればガーナ製品の方がシェアを獲得しているのでしょうか?うーん、もっと調べる余地あり。わくわく。

 

 

▼今後の調査予定

 

・ガーナ製品の工場見学をする

 ・首都アクラのマーケットももう一度見に行く

 ・同僚など一般消費者の印象をもう少し色々と聞いてみる

 ・アフリカ布についての本を読む(2冊ともすでに手元にあります)

アフリカンプリント 京都で生まれた布物語

アフリカンプリント 京都で生まれた布物語

 
ワックスプリント 世界を旅したアフリカ布の歴史と特色

ワックスプリント 世界を旅したアフリカ布の歴史と特色

 

 

私はガーナに来るまでアフリカ布のこともまったく知りませんでしたが、昨年この2冊が発売されていることからもわかるように、日本でも少しずつ知名度が上がっているアフリカ布。布の販売やハンドメイド作品なども調べると結構でてきます。

 

 

本を読むと歴史についてもよくわかるのですが、ワックスプリントは主に西アフリカを中心とした文化らしく、それが広がって東アフリカでキテンゲやカンガにも影響を及ぼしたのだとか。

それを知った時に、ガーナにきてよかった。。と思いました。

もちろん東には東の歴史も文化もあって、工場見学にいっている隊員もいたし、それはそれでめちゃめちゃ興味はありますし、去年ルワンダ行ったときに今の知識があればもっと布の調査したのに…と悔やんだりもしますが、いま住んでいる地域がまさにメッカといえる場所というだけで、嬉しさと愛着が倍増です。

 

 

もちろん知っている人にたどり着けばもっと詳しい情報がわかるだろうし、私なんかよりずっと事情に詳しい人もたくさんいるはずなんです。聞けば早いんです。私がちまちま調べたところで何にもならない。でも自分でこうやって現地の目線で?調べるのがいまはすごく楽しい。ちょっとずつちょっとずつ、いろんな方向から情報が入ってくる。(人によっては信ぴょう性ない情報もあるけどw)

 

ろくに知ろうともせず「柄かわいい♪」だけで楽しく過ごすこともできただろうし、もし自分が動かなければだれも教えてくれなかった。でも何がきっかけか、いまこうして勝手に手足と頭が動いて楽しく調べている。好きこそものの上手なれって、まさにこういうことですよね~~~。しみじみ。

 

かといって別にこれで食っていけるとも思わない(思えない)ので、まあ、趣味ですね。

趣味の範囲で今後も調査を続けますよ~~~っと