507日目 : New Kejetia Market
赴任当初はこわくて近づけず、
9カ月が過ぎたころからやっと楽しめるようになり(過去記事参照)、
今ではすっっっかり大好きな場所となっているクマシセントラルマーケット♪
人混みや活気に毎回すごく疲れるのは変わらないけど、それなりに溶け込んで自分のペースで自分の買いたいものを探せるようになりました。それでも「私の庭」だなんて口が裂けても言えないほど奥が深いカオスなダンジョン、それがクマシのマーケットです。
すっかり虜になり、帰国まであと半年ちょっと まだまだダンジョン攻略がんばるぞ~と思っていた矢先、なんとダンジョンそのものが無くなるという衝撃の展開を迎えています。
▼消えたダンジョン
説明が長くなりますので、先に写真を見ていただきましょう。
2枚のBefore/After写真をどうぞ。
Before① マーケットの入り口部分にご注目 (緑で囲んだ部分)
After① おわかりいただけるだろうか…ごっそりと取り壊されてしまいました…なんと悲しき光景…(この悲しさは本記事 末尾に綴ります)
Before② 私が足繁く通っていた、こちらのバティック布屋さん。
陳列は山積み、電球もなく、トタン屋根でめっちゃ暑い…汗だくになりながらそれでも毎回必死に素敵な柄を探し続けた思い出のこの店も、すでに取り壊されてしまいました。
After② で、こうなりました。なんとまあ、一気に 近代化。
▼Kejetia market 移転プロジェクト
実はこれ、壮大なマーケット移転プロジェクトの一端なのです。
足掛け6年(!!)、約3億ドル(!!)が投資されているという超一大都市開発プロジェクト。
クマシ中心部には複数のマーケットが隣接していますが(その総称がセントラルマーケットだと個人的には解釈しています)、その中でも大部分を占めているのが Kejetia market。
Kejetia market を一望。(取り壊し着手前)
所狭しとひしめき合うトタン屋根はすべてが店舗。青空市場としては西アフリカ最大と言われているだけあって、スマホのパノラマモード撮影でぎりぎり収まるこのスケール感、伝わりますか?
そして、なんとこの巨大な屋外マーケットを…
この新しい建物内に すべて移設しようとしているのです。(写真はググって拝借)
私がクマシに来た2018年末には、すでに新建屋はほぼ完成していました。
しかし一向にオープンする気配がない。ずっと空っぽのまま封鎖されているでっかい建物が街のど真ん中に居座る、という硬直状態が1年ほど続いていました。どうやら、移転にあたって店舗の割当てや家賃などが問題になってプロジェクトがうまく進んでいなかったようです。
個人的な印象では…
何事も「ガーナだから」で片付く日常。あのカオスな迷宮ダンジョンをすべて移転するだなんて、夢のまた夢、いつか遠い未来の話だろうなぁなんて考えていました。
しかし私の期待値の低さとは裏腹に、
プロジェクトは着実に次の段階へ進んでいるのです!!
先週末、今年に入って初めてマーケットに行きました。
いつものように布屋に向かおうと歩いていると…
あれれ…こんなところにバリケード?あれれ…あれれ…?!?!?!
と、すっかり様変わりしてしまったマーケット入り口を見て 驚愕。すぐに高いところから全貌を確認しにいって(After①写真)、さらに驚愕。えぇぇぇぇぇぇ愛する布屋ぜんぶ取り壊されてるぅぅぅぅぅぅぅ
では、行きつけ布屋のKwameさん(店主)はどこへ行ったのか?
電話すると、やはり新建屋に移転しているとのこと。前回行ったときに「そのうち移動するから」と話していたので、念のため電話番号を聞いておいたのです。聞いておいて本当によかった。。。そして無事に移転後の店舗にも辿りつくことができたのでした。(After2枚目)
▼新しいマーケット
では新しい建物の内部を少しご紹介。
すごくない?見た目は完全に駅ビル。「グランフロント大阪やん…」と思わず声を漏らしました。天井のデザインまで凝っていて、やればできるじゃん〜〜〜!と感心。(この模様はガーナの伝統的な民族の家紋みたいなマーク)
1階部分は交通ターミナル。日本でも見るようなターミナル!!すごい!!
従来のマーケットにはターミナルのような広いスペースがあるわけもなく、交差点に車を停めて呼び込んでいるだけで、部外者からすると、どこ行きのトロがどこから出ているのかさっぱり分からずカオス状態だったので、ここが日本のバスターミナルレベルにきちんと稼働したら、わかりやすすぎて感動…
2〜4階部分には、小売店の入居スペースがずらり。ずらりずらりずらり。
この写真は昨年末に撮影したもので、当時はまだシャッター街でしたが、取り壊しがはじまった現在は少しずつ店舗が入っています。Kwameのように既に営業を開始している店舗もチラホラ!
シャッターの左上には、通し番号が振られています。これはまた画期的。おかげでKwameに電話したときも【S2315】という番号だけで彼の店にたどり着くことができました。
そして驚くべきは トイレ!!!!
有料ですがきちんと整備されています。しかも各階に!それぞれ複数個所!十分すぎるほど設置されていました。
日本では当たり前の光景ですが、トイレまで整備されるなんてもう、驚き驚きです。嬉しくて周りに誰もいないのをいいことに写真めっちゃ撮る。笑
従来のマーケット内のトイレは、もちろん現地の人たちは普通に使っていますが、外見だけでも見るからに汚そうで…もう恐ろしくて…私は使う勇気がなくて中まで見たことはないです…
さらには、何に使われるのか検討がつかないエリアも準備されていました。
謎エリアその1 フードコートに見えるのだが…
謎エリアその2 ずらりと並んだ蛇口とシンク、傾斜のついた台。が無数に。
以上、ご覧のとおりまだまだ稼働率20%程度?です。
今後どんどん本格稼働していくNew Kejetia Market から目が離せないっ。
定期的に観察を続けることとします。私がいるあと半年で完全稼働なるか…?!
▼Kwameが いろいろ教えてくれたこと
電話しながらようやくたどり着いたKwameのおnewな店内で、しばらく世間話。
新しい店は、区画ごとに電源コンセントも電気もファンもあるし、めっちゃ快適だ!と喜んでいました。私としても、暗闇で汗だくになりながら布の発掘をしなくてよくなって万々歳です。
でも気になるのは家賃。ここめっちゃ高いんじゃないの?と尋ねると、前の土地でも払っていたし、移転してもそんなに大差ないよ、とのこと。そうなのか。
そして、取り壊しはエリアごとに順番に行われているらしい。After①の写真を見るとわかりますが、まずは第1エリアの取り壊しがはじまっただけで、他のエリアはまだ従来の店舗で営業を続けているとのこと。しかし不運なことに、私が通っていた布屋街はほぼ第1エリアでした。。
基本的にマーケット内では(私の思い過ごしかもしれませんが)あまり「写真を撮られるのが好きではない」と感じていて、いつも写真を撮れずにいました。でも、帰国までに思い出の写真をそのうち撮りたいな…なんて悠長なことを言っている場合ではなかった…とほほ…
かろうじてそれっぽい写真を発掘。
いや、でも、違うのよ。もっと狭くて、でっかいマダムが道を封鎖していて、数えきれないほど布屋が並んでいて、わけわからんぐらい永遠に布が並んでいるせいで正常な判断能力を失って(だらかいつも買いすぎる)、とってもとーーってもワクワクするあの光景… あの光景を… お見せしたかったです。本当に無念。
そんなときの救世主。便利な世の中ですね。
マーケット内の様子を(おそらく旅行者が)撮影したものがYouTubeにアップされていました。アップロード日は1年前。残念ながら私の楽園(布屋ストリート)は動画にはふくまれていませんが、後半2:30以降の光景が、まさにダンジョンの真っただ中です。雰囲気は伝わるかと。
The Old Kejetia Market In Kumasi, Ghana - Biggest Market Of West Africa
あぁ…本当に悔やまれる…
あっちの通りもこっちの通りも、どこまでも布屋が立ち並んでいたあの風景… 首都アクラのマーケットでも見られない、あのクマシのマーケットの風景が大好きだったのに… 私の心の中に永遠に生き続けます…
あともう1点。
Kwameに「新しい場所のほうが好き?」と質問すると「もちろんだよ!でもいずれは前の場所に戻るけどね。」と・・・え?予想外の返答・・・
なんでもKwameいわく、取り壊したあとは、そこにまた新しい建物をたてて、それが完成したら「戻る」らしい。なんだと。じゃあこの建屋はどうするんだい???こんなに立派なのに仮の建物なわけがないし。いやいや、、、謎も多く残りますが、いずれにせよ、このプロジェクトはこの先10年単位で続いていく気がします。。