373日目 : 授業スタイルの見直し
久方ぶりに、自分の「活動」の話をします。
この投稿をさいごに、任地での「活動」に関する更新がぱったり途絶えておりました。ええ、知っています。自覚はありました。ごめんなさい…
空白を埋めるべく、まずは夏休み前の3学期のふり返りから。
パソコンルームが整った前回投稿のあとは、各学年週1コマのGeneral ICTクラスを私ひとりで担当していました。(カウンターパートはそもそも2学期から不在。)いちおう他教科の先生が補助をしてくれる手はずにはなっていたけれど、私もそんなに積極的に協力を求めなかったため、ひとりで授業をしていました。
3学期中に実施できた授業は 各学年 5回。
3学期は1・2年生しかいないので、延べ10回の経験値…微増。もともとゼロに近い授業経験値が…微増しただけ…「授業をする」ということに、なかなか慣れません。
正直、慣れるどころか、むしろ、迷走していました。
授業の内容は、超基本編。1・2年ともに同じ内容を実施しました。
- 文字の入力/削除/選択/フォーマット変更/コピペ/
- ファイルの保存/名前を付けて保存
- word テキストの書式変更
- word 文章校正/スペルチェック機能
- ファイル/フォルダ
授業はすべてパソコンルームで行い、黒板&机で行うセオリー(座学)は一切排除。
生徒をパソコンの前に座らせ、スクリーンに私が用意したパワポ資料を映し、パソコンを実際に操作してもらう、という流れで進めていました。
できるだけパソコンを触って体で覚えてもらいたいという方針のもと、ノートを取りなさいという指示も出しません。なので生徒もノートは持参しません。これぐらいの超基本編ならノート取らなくても触ればすぐに身に付くだろうと私も考えていました。
しかし前述のとおり、授業経験値はもともとゼロに近い(人前で話すこと自体があまり…)私が奮闘したところで、何をどう教えたらいいのかは毎回手探り、英語通じない、急に授業がなくなったり生徒集まらない日もある、教えてもみんな全然ピンときていない顔してる。振り返れば、そんな授業を重ねてばかりでした。
そんなピンとこない3学期ですが、そうなんです、年度末なのです。さすがに期末テストをスキップするわけにもいかず(2学期はスキップさせてもらっていました)、なかば強引にテストも実施。私にとっては初めてのテスト問題作成。こちらも手探りでペーパー問題を作成してみました。
設問を2つほど抜粋してご紹介させてください。
赤字は答案内訳、太字が正解率です。
1・2年生 計60名弱にテストを実施した結果が、これです。
2問とも正解率50%割れ…この結果をどう思いますか…私は正直、がっかり(泣)。
他の問題も、できるだけ画面ハードコピーをふんだんに印刷し、パソコンの操作をしているイメージがわけばカンタンに回答できるような問題を作ったつもりでしたが、結果は撃沈。
と い う か 、
そもそもですよ、
私が作ったテスト問題は、生徒に読んですらもらえなかったんです、きっと。テスト当日、もちろん試験会場を見回るわけですが、開始5分もしないうちから続々と生徒が席を立って退出していったのです。そしてカンニングもいっぱいいた。でも、カンニングしたところでカンニング元もめちゃくちゃ間違っているから、まったく意味が無い。コソコソしてそれでバレてないと思ってるわけ?ていうかどうせ間違ってるしw もう逆に面白いよ君たち。笑
以上、3学期を総括すると、
- 授業をしても手ごたえがない
- テストを実施してもテストにすらなっていない
うーん、思い返せば、けっこう しんどい 状況だったのかもしれませんね。
そんな3学期が終わったのが7月末、そして現在10月中旬。
その間ブログに活動のことを投稿するに至らなかったのは、自分の中で消化できていなかった証拠だなぁと実感しています。文章にできるほど自分の中の考えや気持ちが整理できていなかったんだと思います。どうしたもんかなぁ、こんなんでいいのかなぁ、と悶々とする気持ち、を、一旦横に置いて夏休みは旅行に勤しんでおりました。
でも 今やっと こうして書くに至りました。
実はここ1か月で、状況が少し変化しました。
夏休みが明けて、9月から始まった新学期。
校長が突然、ひとりの男性を紹介してきました。
現在大学生で、今学期だけインターンとしてやってきた彼。担当科目はICT。
経歴を尋ねると、カレッジ(日本でいう専門学校に近いかな?)を卒業したあと、中学校での教員経験が4年間ある、と。高校の教員になるために現在大学にいっている、と。
ほほーん、プロや。私よりデキるやん。やったー。授業やってもらお。ラッキー!
と、迷走ぎみだった私は、正直こんなテンションで彼を快く受け入れたのでした。(ごめんなさい)
話し合った結果、90分/コマの授業を分担することにしました。
- セオリーの部分は彼が担当 (座学:教室で黒板使って教える)
- プラクティカルの部分は私が担当 (実技:パソコンルームで実技を教える)
そして、この体制になって、現在1か月ほど経過したところです。
結論から言います。
この体制、めーーーーーちゃくちゃ やりやすい。
性に合ってる。学ぶことも多い。
彼、来てくれてよかった。
彼が来た当初、授業の内容や分担を話し合っている段階では まだこんな構図でした。
セオリーごり押しのガーナ人「セオリーめっちゃ大事だから!プラクティカルも大事だけどさ!まずセオリーがないとはじまらない!」
VS
プラクティカルごり押しの日本人「私はプラクティカルしか教えられないし!前学期もセオリーすっとばしたしね」(心の声:セオリー要らなくない?ただでさえ授業時間が超限られているのにセオリーに割く時間がないでしょ~)
ファイッ!!
まあでも彼は「これを教えるべきだ」って言う内容がハッキリしているし、そんなにやりたいならとりあえず任せてしまおう!好きにやっておくれ!と、なかば投げやりに、彼に委ねてみることにしました。
迎えた彼の授業 第1回目。
初回は90分まるっと教室でのセオリーにするということだったので、私は生徒側に座って見学。座学なんてどうせ退屈で意味ないだろうと内心偉そうな態度の私は、このあと軽く落ち込むことになるとなど つゆ知らず。。。
彼の授業を見学して思ったこと
- 生徒がちゃんと話を聞いている
- 生徒の反応が良い、頷いたり、質問すればすぐ返事が返ってくる
- ノートもきっちり取っている(黒板を写している)
これって、授業風景としては当たり前なのかもしれませんが、これまで私がひとりで授業していたときはこうだったんですよね。
- 聞いてって言っても聞いてくれない、そもそも私の英語がたまに伝わらない
- わかった?って聞いてもウンともスンとも反応が返ってこない。質問しても黙る
- ノートは取っていない
- 生徒はあまり楽しそうではないし、そんなの私も楽しくないw
いや、真逆!www
これがもう、すごくカルチャーショックというか、私にとっては衝撃の光景だったんです。
授業前は どうせ座学なんて…と斜に構えていた私でしたが 喝!を入れられた気分でした。
その授業での彼の板書「プレゼンテーションの重要性とは、その1~~その2~~」とか何とかツラツラ書かれています。この内容をノート取らせて、果たしてパソコンスキルはあがるのか?という疑問はぬぐえませんが、それ以前に、それ以前にですよ、
教室の雰囲気が、とても良い。これに尽きます。
「勉強している」「授業を受けている」という実感が、生徒の表情や態度から、ひしひしと伝わってきました。伝わりすぎて心が痛い。
先生も生徒も、俺たちの授業スタイルってこうだよね~~という、ガーナ人同士の阿吽の呼吸を見せつけられたといいますか、とにかく、教えている側も、教えられている側も、ものすごくしっくりきているのは間違いない。
授業が終わったあとは、複雑な感情が自分の中でぶわ~~~~~~~~っとなりました。
投げやりモードに突入したときは「先生も生徒も双方がこの座学スタイルで満足しているならもうそれでええやん。私いる?もう授業やらんでええかな?元々無い自信やけど、もっと自信なくすわwww」という具合でした。
とにかく、いままでの自分の授業スタイルは ダメだ…
と、打ちひしがれた私をよそに、言うことは立派な彼は「高校用の教科書に基づいてこれを教えるよ」とか「 授業プランはこうだよ(←ちゃんと書いてくる)」とか、なんなら「教員経験も無い未熟な日本人に、この僕がガーナ流の教育方法を教えてあげるよ!」といわんばかりに、すこぶるやる気満々。笑
今学期はとりあえず、そんな彼に乗っかることにしました。
教える内容は全部 彼に任せる。私は彼が教えた内容を補足するようにプラクティカルをやる。そういう風にもっていこうと決めました。
こちらはとある日の授業の前半パート、彼が教室で教えている内容に合わせて、プラクティカル用の資料をリアルタイム修正している様子。彼が板書で教えた内容や、使っていた表現をなるべくそのままプラクティカル授業でも使うように奮闘している様子。
彼がPowerPointの立ち上げ方の手順をノートに取らせたなら、
私は実際にパソコンを使って、PowerPointの立ち上げをやらせよう。
彼がこのボタンの名称と役割を教えたなら、
私は実際に生徒にボタンをクリックさせてみよう。
そう心がけながら準備を進め、ついに迎えた 私のターン。
パソコンルームで、実際にパソコンを触っての授業。
これが、なんとまあ、彼にめちゃめちゃ好評でした。
Very well !! Today you done well !!! (今日のお前は最高だ!よくやった!)
めちゃくちゃ褒めちぎってくれました。頼りないと思ってた日本人が思ったよりできたもんだから、俺が育ててやったぜ☆と喜んでいるのかもしれません。まあでも褒められたら私も嫌な気はしない。笑
私のパワポ資料もとても気に入ったらしく、データが欲しいと言われたのであげました。
私個人の感触としても、とても授業がやりやすかったです。
「これさっきノートに書いたよね?なんていう名前だった?」「これクリックすると何が起きるんだっけ?」と質問すれば返事が返ってくる、嬉しい。
そしてちょっと私の言語力が足りない部分はその場で彼が英語だったり現地語だったりで補ってくれる。これも授業進行には欠かせないと改めて実感。
先に書きましたが、
この今の体制、とてつもなく 性に合っている のだと気づきました。
まず状況を把握し、相手の考えや要求を理解する
↓
何が必要とされているのかが見えると…
↓
私自身がすべきことがわかる。
相手が望んでいることが実現できるように最大限尽力する。
私はこのサイクルにハマると、思う存分 持てる力を発揮します。ドヤァ。笑
私の性格や仕事ぶりをご存知の方だったら、ああ、わかる~と思っていただけるかもしれません。
逆に、このサイクルにハマれない場合、ポンコツです。前学期までポンコツでした。
自分に求められていることがわからないと何もできない。もっと言ってしまえば、行動の原点となる動機が自分の中には存在しないので、自分発信ではうまく動けない、行動の主軸は常に他人にしかない、ということでしょうか。この話は奥が深いので割愛。
今回でいうと、
まず、彼が教えたい内容を把握し、彼が生徒に伝えたいと思っている(であろう)ことが理解できました。そして自分を「彼と生徒の橋渡し」的な存在として位置づけてみると、私が何をどう補足してやれば、教師/生徒 双方にとってプラスになるのかが、自然と見えてくるんですね~ あ~ やりやすぅ~。
私、カウンターパートがいる環境のほうが、能力を発揮するのかも。いまさらながらの気づき。。笑
それでもガーナ人の意見を尊重しながら「合わせること」って簡単ではないんですけどね、おいおい~聞いてないよ~と思うこともあるんですけど(だからリアルタイム修正が必要)、それでも引っ張るスタイルより、合わせるスタイルのほうが随分やりやすい。
もちろん1年たった今だからこその「ちょっとしっくりきた感」だとも思うんです。1年前と比べたら、ガーナ人(彼や生徒)のことを理解できる力もついただろうし、語学力もちょびっとはマシになっているだろうし、そういう小さな変化の積み重ねもあってこその、今だとも思うんです。
でもやっぱり向き不向きはあるし、自分の得意/不得意はあるし、自分に足りないところ、弱いところが活動を通して色々と見えてくるな~~~~と痛感したり。
あと、授業スタイルも、独りよがりな部分があったなーというのも気づき。
反省しました。
例えるなら、リフティングを上達したい!として。
いくら座学をやっても、実際にボールを蹴り上げる技術が上達する訳がない。
パソコンの授業に対しても、私はそこういう風に思っていたんです。とにかくパソコンに触る時間を増やしたい、私はそうやって身につけたんだから、そうすれば生徒たちも自然と学んでいくだろう、と。
でも、ある時ふと、違うものに例えてみました。
日本人にとっての(少なくとも義務教育当時の私にとっての) 英語学習です。
英語が話せたほうが絶対いい!と思っていても、実際 学校では座学ばっかりで一向に英語が身に付かない。そりゃそうだ。うん、おっしゃることは分かるんだけれども、かといっていきなりネイティブの目の前に放り出されてもどうすればいいか分からず、ひたすら愛想笑いしかできないよね。。
そう考えたときに…生徒の気持ちもわからんでもないなぁ…と。おお、そうか、と。(この例え自体が適切ではないかもしれませんが…)
ともあれ、授業スタイルの改革が必要なことは、確信。
来学期からはまた私がメインで授業をしないといけないので、ガーナスタイルにもう少し歩み寄った授業を展開できればいいなと思っています。
そのために今学期中は、彼の授業からガーナスタイルの良いところを学びたい所存です。